映画きかんしゃトーマス おいでよ!未来の発明ショー!レビュー



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あらすじ

映画 きかんしゃトーマス おいでよ!未来の発明ショー!


29歳 男性の感想

言わずとしれた機関車トーマスの劇場版最新作。
言ってしまえば、大人がストーリーを楽しむ類の映画ではありません。
そのため評価軸は普通の映画と異なりますが、個人的にブログに書こうと思うくらいには好感を感じています。
好感のポイントは、子供向けに発しているであろう2つのメッセージです。

1. 発明することのすばらしさ

未来の発明ショー!といっているくらいなので、劇中では発明ショーが開催されます。
序盤に出てくるしょうもない発明もその後の事件でしっかり役に立つのは、いかにも子供向け作品の王道という感じでいいですね。
発明ショーのクライマックスではルースの発明した『空飛ぶ車』がお披露目されます。
華やかに空を飛びまわり、野次馬も感嘆する数秒間。自分が子供であれば、新しいものをつくる偉大さ、素晴らしさ、かっこよさを感じるであろうシーンでした。

テーマ曲の『きかいはすばらしい』もよかったです。もっというと英語版の『How Does it work』がいいです。映画を通して、発明ってクールだよね!を伝えたいんだなというのが分かります。
CG以降のトーマス(もしかしたらそれ以前も)の劇中歌は、日本語だと何とも言えないけど英語版はいい歌だね!ということが多く感じます。
当然、歌を翻訳することが難解なのは想像に難くなく、意味を合わせながらリズムに当てはめるとどうしても違和感が出てしまいます。何となく、翻訳する方が元の意味を大切にする方なのかな、と思っています。

2. 近代/現代において、機関車がはたらく意義

映画おなじみの新しい仲間はケンジとサニー。ケンジは一時期SNS上でも話題になった、0系新幹線がモデルで日本出身の仲間です。
ヒロ(D-51蒸気機関車)といい、日本版スタッフの頑張りと同時に、日本がかなりのトーマス大国であることを伺わせます。

その前衛的なデザインや顔の位置はさておき、ポイントは彼が新幹線、つまり高速鉄道である点です。

私の知る限り、トーマスの舞台となっている時代について、明確な言及は無いはずです。
そして、原作に登場する速い列車といえば、ゴードン、そして時速100マイルで走るセレブリティー(シティオブトルーロー)です。
しかし「走れ!世界のなかまたち」のグレートレースで優勝したエティエンヌは、後先を考えなければ時速331kmで走れます。ケンジもモデルが0系である点や、劇中で『世界最速の超特急』と称される点から考えると、時速200kmを優に超える速度で平常運転ができることは間違いないでしょう。

このように、近年はトーマスの世界であっても電気機関車や電車、高速鉄道の存在が無視できないものになっています。
今作でも、発明品によって仕事がなくなるのではないか?とトーマスたちが危惧するシーンがあります。
この構図って、よく目にすると思いませんか?

  • 今後AI/人工知能が進化すれば仕事はAIに取って代わられ、世間は失業者で溢れる
  • シンギュラリティ/技術的特異点が発生し、AIは人間を超え、人間の職は無くなる
  • 人間は働く必要が無くなり、全てAIにやらせてベーシックインカムで生きていけばいい

なんて、誰もが一度は耳にした文句ですよね。まるで星新一の世界です。

私はこれが、『高速鉄道(AI)の時代に蒸気機関車(人間)はどうやって生きていけばいいの?』という、子どもたちに対する問いかけにもなっているように感じました。

これに対するトーマスの答えは、はっと目を見開くものではありません。あくまで子供向け作品なので。
トーマスは信頼で仕事をします。失敗は多いですが、基本的に仕事熱心で仲間想いかつ勇敢であり、トップハムハット卿や友人たちからは大きな信頼を得ています。遅延感覚で衝突事故を起こす旅客列車を信頼していいものか、私には分かりかねますが

今作でも、自分よりずっと速いケンジが危機に陥った際、発明品をうまく活用して救い出し、ハット卿やケンジからの信頼を深めています。
結局、自分より優れたものが出てきた時に、最後に勝負になるのは人格の部分だよね、という
当たり前ですが、きっと子供が成長する中で学んでおくべきことが、今作のもう一つのメッセージかなと思っています。


総じて、当然ながら大人に勧めるような類の映画でないのは大前提として、
子供に対して特に口説さもなくメッセージを伝えている、しっかりとした子供向け映画だったかなという印象です。

最終盤にはヒロも絡んで、ケンジの今後が気になるシーンもありました。日本のトーマスファンであれば、是非見ておいてほしい作品ですね。


3歳 男性の感想

音が大きくてちょっと怖かった。